artscapeレビュー
第15回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展 ジャルディーニ地区
2016年10月15日号
会期:2016/05/28~2016/11/27
[イタリア、ヴェネチア]
ヴェネツィアビエンナーレ国際建築展2016のジャルディーニ会場へ。2014年のコールハースがディレクターだったときは、圧倒的な情報量で見るのが大変だったが、今年はだいぶ楽にまわれる。ただし、歴史的なリサーチを各国館に強いたのはクオリティを一定水準にする底上げ効果があったようで、館ごとのばらつきは大きい。ヨーロッパのパヴィリオンは難民問題を扱うものが複数見受けられた。これに対し、国家として難民受け入れの可能性が低く、近隣コミュニティの「縁(en)」を掲げた日本館は、日本らしいかもしれない。またチリの建築家がディレクターだったためか、全体的に非西洋圏のプロジェクトが目立ったことも、今回の特徴と言える。もっとも、内容・主張は別にして、単純に楽しめるかどうかで言うと、これまで見てきたビエンナーレのなかでは、今回の展示はあまり面白くない。建築の社会性を見せる展示はどうしても説明的になってしまうからだろう。
2016/09/11(日)(五十嵐太郎)