artscapeレビュー
橋本陽子写真展「ラビリンス」
2017年01月15日号
会期:2016/12/06~2017/12/18
ギャラリー・ソラリス[大阪府]
少女から大人へ向かう10代後半から20代前半の女性を約8年間にわたって撮影。大小さまざまなサイズにプリントした写真30数点を、インスタレーションとして展示した。最初は一人の少女を追った作品だと思ったが、よく見ると複数の人物が混ざっている。しかし、ドキュメントか否かは大した問題ではない。作家の被写体に対する眼差しには、その年代の同性に対する憧憬が感じられ、なるほど女性にしか撮れない写真だと感心した。同性を撮影する場合、あえて辛口な視点を採用する方法もあるだろう。しかし本作では、過渡期の女性が放つ刹那の美への共感が前面に出ており、それが作品に繊細さや品の良さを与えていたと思う。作家はこれまでグループ展で活動しており、個展は今回が初めて。それにしては展示構成もそつなくまとめており、好スタートと言えるだろう。いつになるかは分からないが、次の個展を楽しみにしている。
2016/12/17(土)(小吹隆文)