artscapeレビュー

シェル美術賞展2016

2017年01月15日号

会期:2016/12/07~2016/12/19

国立新美術館[東京都]

シェル美術賞は1956年から断続的に続いてきた現代美術の公募展で、今年60周年、45回目を迎えたという。けっこうなことだが、応募数を見ると、00年代は千人前後から1500点ほどの応募があったのに、10年代から徐々に減り、今年は570作家による791点と半減しているのが気にかかる。とはいえ500人以上が応募するのだから大したもんだ。うち4人の審査員が選んた53点の作品と、過去の入選作家から選んだ4人の作品を展示。草花をのせたテーブル上の皿を真上から捉えた木村鮎子の《白昼夢のままごと》と、石膏像やイーゼルが立ち並ぶアトリエ風景を描いた椙山奈津子の《石こう室》は、どちらも装飾的・平面的で色彩も美しい。模様のついた布を部分的に脱色して木枠に張った池上怜子の《たがそで》は、装飾を扱いながら攻撃的で好ましい。以上3人とも島敦彦氏の選定。ぼくと趣味が似ているようだ。ほかに、時計を90度傾けて半分だけ描いた吉田一民の《絵画》、グラフィティをキャンバスに移植したようなしまだそうの《VITA NOVA Ⅰ》がよかった。

2016/12/17(土)(村田真)

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