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東北大学萩友会同窓生インタビュー 円城塔氏

2017年01月15日号

東北大学東京分室[東京都]

円城塔の小説をまとめて読む機会を得たが、風景の描写や人間のドラマを書くのではなく、本の本、あるいは書くこととは何かを考える概念そのものが対象のメタフィクションが多く、SF的なボルヘスのようだ。東北大の同窓誌のインタビューでは、表現者というより、法螺話の論理を徹底的にドライブさせる職人の側面がうかがえた。彼の本を読んでいると、本人が理想としている文章の生産は、オートマトンで自動書記機械のような感じだ。デビュー作となった『Self-Reference ENGINE』は、研究職の合間に、毎日カフェで限られた時間にお題を決めて書いた短編を連鎖させたものだというのもうなずける。

2016/12/07(水)(五十嵐太郎)

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