artscapeレビュー
愛しのいきものたちへ 金尾恵子 原画展 絵本・科学読み物誌など40年の軌跡
2017年01月15日号
会期:2016/11/29~2016/12/07
ワイアートギャラリー[大阪府]
金尾恵子は大阪出身の画家で、1970年頃から図鑑、幼年雑誌、科学読み物、絵本のために、動物画(鳥、魚、昆虫、両生類も含む)を描いてきた。アーティストとして別種の作品も制作しているようだが、本展では40年来描きためた動物画に絞って個展を行なった。私は子供の頃から図鑑が大好きだったので、その原画を生で見て大興奮した。図鑑の絵は現代美術と違って、ややこしいコンセプトがないのが良い。大事なのはひたすら事実に忠実なことだ。だから個性など不要なのかと思いきや、それでも描き手ごとに独自の画風があるというのだから興味深い。出そうとしなくてもおのずから滲み出るのが個性ということか。オリジナリティー病にかかっている現代美術作家は、時々こういう絵を見て「個性とは何か」を再考するのが良いだろう。
2016/12/02(金)(小吹隆文)