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2017年01月15日号のレビュー/プレビュー

ルーヴル美術館特別展 LOUVRE No.9 ~漫画、9番目の芸術~

会期:2016/12/01~2017/01/29

グランフロント大阪北館 ナレッジキャピタル イベントラボ[大阪府]

日本と並ぶ漫画大国のフランス(ちなみにフランス語圏では漫画をバンド・デシネ=BDと呼ぶ)。21世紀に入り、同国が誇る美の殿堂ルーヴル美術館は漫画に注目。国内外の漫画家にルーヴルをテーマにした作品を描いてもらう「ルーヴル美術館BDプロジェクト」をスタートさせた。その成果を紹介しているのが本展だ。出展作家は16組。日本での開催に配慮したのか、約半数の7組が日本人作家だった。筆者は漫画に不案内なので作品についてあれこれ言えないが、原画やネームを生で見るのはやはり興味深い。どの作家も、少なくとも線画に関しては非常に上手く、美術家が見ても十分勉強になると思った。一方、本展で紹介されている作品の傾向を見ると、記号的な絵よりも絵画性を重視しているように思われ、この辺りにフランス人と日本人の漫画観の違いが現われているように感じた。

2016/11/30(水)(小吹隆文)

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生誕80周年 澤田教一 故郷と戦場

会期:2016/10/08~2016/12/11

青森県立美術館[青森県]

澤田教一が撮影した《安全への逃避》(1965)、《泥まみれの死》(1966)といった写真は、ピュリッツァー賞、世界報道写真コンテストなどの賞を相次いで受賞し、ベトナム戦争の過酷な現実を伝える象徴的なイメージとして、さまざまな媒体で取り上げられてきた。だが代表作のみが一人歩きするにつれて、逆に一人の写真家としての澤田の実像は見えにくくなってくる。今回、開館10周年の記念展として青森県立美術館で開催された「澤田教一 故郷と戦場」展では、美術館に寄託された2万5千点近い写真と資料とを精査することで、彼の全体像がようやくくっきりと浮かび上がってきた。
まず注目すべきなのは、彼がベトナムに赴く前の青森・東京時代の写真群である。澤田は1955年から三沢の米軍基地内のカメラ店で働き、のちに結婚する同僚の田沢サタの影響もあって、プロカメラマンをめざすようになる。その時期に撮影された、珍しいカラー画像を含む写真を見ると、被写体の把握の仕方、画面構成の基本を、すでにしっかりと身につけていることがわかる。被写体に向けられた視線の強さ、的確な構図など、後年のベトナム時代の写真と遜色がない。日本でレベルの高い仕事をこなしていたからこそ、ベトナムでもすぐに第一線で活動することができたのだろう。
もうひとつ、今回の展示で印象深かったのは、被写体への「感情移入」の強さである。ベトナムで撮影された写真のなかに、一人の人物を執拗に追いかけ、連続的にシャッターを切っているものがいくつかある。例えば1966年頃に撮影された、連行される黒シャツの解放戦線兵士を捉えた一連のカット、68年の「テト攻勢」下のフエで、負傷した男の子を抱えて何事かを訴える母親の写真などだ。これらの写真を見ると、澤田が明らかに苦難に耐えている人々や、無名の兵士たちに、強く感情を揺さぶられているのがわかる。それはたんなる憐れみや同情ではなく、人間同士の本能的な共感というべきものだ。
比類ない写真家としての身体能力の高さと、むしろパセティックにさえ見える「感情移入」の強さ、この2つが結びつくときに、あの見る者の心を動かす写真群が生み出されてきたのだろう。澤田の写真の知られざる側面を丁寧に開示する、意欲的な回顧展だった。

2016/12/01(木)(飯沢耕太郎)

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ミュージアム

タイトルに興味をもって見た映画『ミュージアム』は、確かに最後まで飽きずに見ることができる小栗旬の熱演だし、『セブン』的な展開だったが、一番のラストは観客を驚かせるための小細工に思え、物語の一貫性や、作品が獲得しうる可能性としては疑問だった。ただし、原作は少し違うらしい。またアーティストを気どった殺人者によるアート殺人が売りなのにもかかわらず、美術の設定がさほど洗練されていない。狂気を描いた今年の映画としては、同じく漫画を原作にしたものだが、『ヒメアノ~ル』の方が強烈だった。

2016/12/01(木)(五十嵐太郎)

何者

映画『何者』は、就活を題材としながら、140字の世界観に縛られたTwitter人間の主人公を軸に、SNS、ネット時代における仲間の微細な関係性を描く。『桐島、部活やめるってよ』の原作でもある朝井リョウならではの世界である。就活とは、可能性にあふれた何者でもない学生から、道を決める/決めさせられる社会人への日本的で集団的な通過儀礼だが、当事者なのか、大人なのか、世代によって映画の見え方はだいぶ違うだろう。

2016/12/01(木)(五十嵐太郎)

愛しのいきものたちへ 金尾恵子 原画展 絵本・科学読み物誌など40年の軌跡

会期:2016/11/29~2016/12/07

ワイアートギャラリー[大阪府]

金尾恵子は大阪出身の画家で、1970年頃から図鑑、幼年雑誌、科学読み物、絵本のために、動物画(鳥、魚、昆虫、両生類も含む)を描いてきた。アーティストとして別種の作品も制作しているようだが、本展では40年来描きためた動物画に絞って個展を行なった。私は子供の頃から図鑑が大好きだったので、その原画を生で見て大興奮した。図鑑の絵は現代美術と違って、ややこしいコンセプトがないのが良い。大事なのはひたすら事実に忠実なことだ。だから個性など不要なのかと思いきや、それでも描き手ごとに独自の画風があるというのだから興味深い。出そうとしなくてもおのずから滲み出るのが個性ということか。オリジナリティー病にかかっている現代美術作家は、時々こういう絵を見て「個性とは何か」を再考するのが良いだろう。

2016/12/02(金)(小吹隆文)

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