artscapeレビュー
坂茂《成蹊大学情報図書館》
2010年12月15日号
[東京都]
竣工:2010年
坂茂の設計による図書館。左右のヴォリュームは大学本館の外装材にあわせ、レンガタイルで覆われている。特に注目すべきは中央のガラス張りのアトリウム空間を内包したヴォリュームである。中に浮かぶ複数の玉ねぎ型の球体。細い足で支えられ、それぞれ空中歩廊などからアクセス可能である。これらはグループ閲覧室であり、静かな図書館に対して、もっと自由に気軽に話をしたりできるスペースを設けようという、この図書館のコンセプトを体現したような部分である。この立体的な空間の使い方から、同じ坂茂による銀座のスウォッチ・ビル(《ニコラス・G・ハイエックセンター》)が思い浮かぶ。多数のエレベーターによって、1階からそれぞれのブランドのフロアにいくことができるという構成は、建築の立体的な自由度を高めているという意味で、この図書館との共通点が感じられる。
2010/11/06(土)(松田達)