artscapeレビュー
第5回金沢学会
2010年12月15日号
会期:2010/12/02~2010/12/03
金沢エクセルホテル東急[石川県]
金沢創造都市会議と隔年で交互に開かれている会議で、金沢経済同友会が主催している。創造都市会議が公開シンポジウムというかたちで、都市問題を実践的なレベルで討議するのに対し、金沢学会はそこで挙げられたテーマをさらに掘り下げ、調査結果などに基づいて議論する非公開のシンポジウムである。立ち上げには創造都市研究で知られる佐々木雅幸教授が関わっている。1999年に第1回のプレシンポジウムが始まっており、かなり早い段階から創造都市に関する議論がなされてきたことは特筆すべきであろう(チャールズ・ランドリーの『創造的都市』の出版は2000年である)。第5回の金沢学会では「都心」をテーマに、「情報を発信する」「学生よ集まれ」「クラフトを活かす」という三つのセッションが行なわれ、都心に活力を与えるためのさまざまなアイディアが紹介、検証された。金沢は都市としての意識が非常に高い一方で、危機意識も高い。2014年の北陸新幹線開業によるストロー効果への対策として、都心強化とにぎわい創出の必要性が討議された。この会議と金沢という都市のゆくえは、日本の地方都市のあり方を考えるうえで、注目に値するだろう。
2010/12/02(木)(松田達)