artscapeレビュー
松山賢「からっぽの偽物」
2010年12月15日号
会期:2010/10/23~2010/11/27
大作が3点。いずれもエロかわいい女の子を中心とした絵だが、それぞれ背景が違う。ひとつはキャンヴァスの代わりに板を使い、木版画のように背景の花模様を彫っている。その花模様は女性のはだけた身体にも彫られ、まるで刺青のようだ。あとの2点は背景が抽象画で、ひとつはモーリス・ルイスのような絵具の垂れ流し風、もうひとつはゲルハルト・リヒターみたいにペインティングナイフでこすったみたいな表現主義風。リヒターは具象と抽象を同時に描き分けたり、抽象画を具象的に描いたり(その逆も)して絵画を散々もてあそんできたが、そのリヒターを女の子がもてあそんでる感じ。でも松山はやっぱり抽象より具象のほうがウマイな。
2010/11/02(火)(村田真)