artscapeレビュー
比果彩「CAMPEE」展
2012年11月15日号
会期:2012/10/16~2012/10/21
マニキュアで描いた絵画作品がミラーボールが回って照らされる空間に展示されていた。隣のスペースにはハサミやナイフをキラキラ光るビーズやスパンコールなどのいわゆる“デコ”パーツで装飾したオブジェもある。比果彩は1988年生まれ、京都市立芸術大学修士課程美術研究科に在籍するまだ若い作家だ。画材や素材がそのようなもののせいもあり、会場を見まわしただけでは「ああ、いまどきの若い女の子(の感覚)だ」という雰囲気もあるのだが、作品をじっくりみるとそんなイメージはあっさり払拭される。まずなにより絵が巧い。少し離れて見ると、描かれた風景がドラマチックに変化して見えるのも面白かった。回転するミラーボールの影響で画面のあちこちが晴れた日の水面のようにキラキラと光る。近くで見るとどれほど丁寧に塗り重ねているのだと感心するほどマニキュアの色も層も多彩。画力と労を厭わない作家の真面目な性質もうかがえた。これからも活躍が楽しみだ。
2012/10/21(日)(酒井千穂)