2024年03月01日号
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artscapeレビュー

プライベート・ユートピア──ここだけの場所

2014年02月15日号

会期:2014/01/18~2014/03/09

東京ステーションギャラリー[東京都]

ブリティッシュ・カウンシル・コレクションにみる英国美術の現在、というのがサブタイトル。ブリカンがエライのは、10年にいちどくらい日本にイギリス現代美術を紹介していること。日本も見ならってほしいなあ。出品作家は60年代生まれが大半を占め、90年代なかばにアートシーンを騒がせたYBA(ヤング・ブリティッシュ・アーティスツ)と重なり、半数以上がターナー賞を受賞したりノミネートされたりしたという。が、デミアン・ハーストやレイチェル・ホワイトリードは出ていない。おそらく以前に出たか、高すぎてコレクションできなかったかだ。さて肝腎の作品だが、ピンからキリまで取りそろえてある。もともとイギリス現代美術というと、ウィットに富んでるけどそれ以上でなかったりするのだが、その傾向は近年ますます進んでいて、たとえばウッド&ハリソンの映像やアンナ・バリボールの光を使ったインスタレーションみたいに、だからなんなんだといいたくなるような作品も少なくない。逆によかったのは、陶器の表面に男性器をめぐる物語絵を描いたグレイソン・ペリー、ひとりのプロレスラーの人生をポップな壁画と映像で表わしたジェレミー・デラー、だれのものかもわからない写真を拡大してキャンバスに描くローラ・ランカスターなどだ。

2014/01/19(日)(村田真)

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