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artscapeレビュー

沼田学「界面をなぞる2」

2014年02月15日号

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会期:2014/01/10~2014/01/22

新宿眼科画廊スペースM[東京都]

沼田学は、2012年12月に同じ新宿眼科画廊で「界面をなぞる」と題する、白目を剥いた男女のポートレート作品による写真展を開催した。今回の展示はその続編というべきものだが、前回が20点ほどだったのとくらべて107点に数が増えている。このテーマが彼のなかでさらに醗酵し、深められてきているということだろう。
白目を剥くという状態は、普通は日常から非日常への移行の過程で起る現象である。ということは、沼田の言う「界面」とはその境界線と言える。彼はまさに、こちら側とあちら側の間に宙吊りになった状態を、モデルたちに演じさせているのだ。だがそれだけでなく、このシリーズではモデルたちを取り巻く環境──とりわけ彼らの部屋のあり方が大きな要素となっているように感じる。部屋をその住人の存在を表象する空間として捉えるアプローチは、都築響一の『TOKYO STYLE』(1993)、瀬戸正人の『部屋』(1996)など、多くの写真家たちによって試みられてきた。それらはいま見直すと、それぞれの時代の状況を鏡のように映し出しているように見える。沼田のこのシリーズもまた、2010年代の東京を中心とした都市の住人たちの居住空間のあり方を、的確にさし示しているのではないだろうか。
それはひと言で言えば、過剰なほどの情報空間ということだ。モデルにアーティスト、ミュージシャン、アクターなどの表現者が多いことも影響しているのかもしれないが、われわれの日常空間にさまざまな記号が溢れ、ひしめき合っている様が、写真に生々しく写り込んでいる。

2014/01/18(土)(飯沢耕太郎)

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