2017年10月15日号
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artscapeレビュー

岸幸太「ガラクタと写真」

2014年02月15日号

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会期:2014/01/20~2014/02/02

photographers' gallery/ KULA PHOTO GALLERY[東京都]

岸幸太の作品には、このところずっと注目している。新聞紙に写真を印刷した「The books with smells」(2011)から始まって、解体工事現場で拾った廃材やプラスチックボードに写真を貼り付けた「Barracks」(2012)、東日本大再震災の被災地で出会ったモノたちを撮影した「Things in there」(2013)と、実物と写真画像とを強引に接続するような作品をコンスタントに発表してきている。今回は会場にプリンターを持ち込み、新作を含む「Barracks」の作品を複写して藁半紙にプリントし、それを綴じあわせて写真集の形にするという作業の現場を公開した。でき上がった写真集はその場で販売している。
普通、写真作品は、きれいにプリントされた状態で、最終的にフレームなどに入れて展示される場合が多い。岸はどうやら、写真を撮影し、プリントするという写真家の現場を、より直接的に観客に開示したいと考えているようだ。その結果として、彼の作品には過剰なノイズがまつわりつき、暴力的とも言える触感、物質感を感じさせるものとなった。そこには、こぎれいに整えられ、フレームアップして商品化された作品とは一線を画する、観客を挑発する荒々しいパワーが召還されている。それはまた、東日本大震災の傷口を糊塗し、ふたたび何ごともなかったように経済効率のみを追い求める体制に復帰しようとしている社会状況に対する、モノの側からの強烈な異議申し立てでもある。見かけの奇妙さに目を奪われるだけではなく、彼の作品の批評的なスタンスを評価していくべきだろう。

2014/01/20(月)(飯沢耕太郎)

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