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artscapeレビュー

標的の村

2014年02月15日号

フォーラム仙台にて、ドキュメンタリー映画『標的の村』を見る。オスプレイ配備や高江のヘリパッド建設に対する反対運動を記録したものだが、衝撃的だった。特に「国家」が、座り込みをした「住民」を訴えるSLAPP、すなわち威圧訴訟を行なったこと。しかも、現場にいなかった7歳の少女まで告訴されている。これは沖縄だけの問題ではない。もうひとつ衝撃的だったのは、ベトナム村である。1960年代の初頭、米軍が沖縄の高江にベトナム風の村をつくり、現地の住民にベトナム人の役をさせて、ベトナム戦争のための演習が行なわれた。それから約半世紀後、高江にヘリパッドが建設される。『標的の村』のラストは痛々しい。日本における米軍基地をめぐる反対運動だが、現場では、座り込みを行なう沖縄県民と、やはり沖縄県民であり、排除を行なう警察が激しく争う。SLAPP裁判の流れも、少しずつ訴訟から解放しながら、高江の村民を分断させようとする方向に動いていく。

2014/01/22(水)(五十嵐太郎)

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