2017年06月15日号
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artscapeレビュー

鈴木崇「Form-Philia」

2015年07月15日号

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会期:2015/05/29~2015/07/12

IMA Gallery[東京都]

2014年8月~9月の「これからの写真」展(愛知県美術館)に出品された鈴木崇の「BAU」は、なかなか面白いシリーズだった。カラフルなスポンジを重ねて、さまざまな「構築物」を作るというコンセプトが鮮やかに決まっており、作品自体のサイズを小さめにしたのも成功していた。鈴木はアメリカのアート・インスティテュート・オブ・ボストンを卒業し、ドイツ・デュッセルドルフの芸術アカデミーではトーマス・ルフに学び、トーマス・シュトルートのアシスタントをするという華麗な経歴の持ち主だが、正統的な「ベッヒャー派」の作風からはやや逸脱した、軽やかで「カワイイ」たたずまいが、むしろ新鮮に感じられた。
その鈴木の新作を見ることができるというので、期待して個展の会場に足を運んだのだが、いささかがっかりさせられた。今回は「BAU」以外に、影をテーマにした「ARCA」、新作の「Fictum」のシリーズが展示されていたのだが、どちらも「悪くはない」レベルに留まっている。特に、京都を中心に日本の都市の光景を断片化して切り取り、3面~5面のマルチ・イメージとして並置した「Fictum」は、発想、仕上げともに既視感を拭えない。日本の都市環境を、瓦屋根のような伝統的な素材と近代的な素材とのアマルガム(混合物)として捉える視点が使い古されているだけでなく、その並置の仕方に工夫が感じられなかった。疑いなく、一級品の才能なのだから、それにさらに磨きをかけていってほしいものだ。

2015/06/07(日)(飯沢耕太郎)

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