2017年06月15日号
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artscapeレビュー

古い写真を通して台湾を知る 台湾の懐かしい風景と人々の生活 1930s~1970s

2015年07月15日号

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会期:2015/06/13~2015/08/12

台北駐日経済文化代表処 台湾文化センター[東京都]

台湾には1990年代にかなり頻繁に足を運んでいた。展覧会に付随したレクチャーやシンポジウムに参加することも多く、何人かの写真家やキュレーターと知り合った。その度に感じたのは、日本とのかかわりが深く、文化的にも共通性が多いにもかかわらず、写真表現のあり方にはかなりの違いがあるということだった。
今回、東京・虎ノ門の台湾文化センターで開催された「古い写真を通して台湾を知る」展は、写真史家の簡永彬がキュレーションして、2014年に国立台湾美術館で開催された「看見的時代」展を元にしている。もっとも、台湾写真の1940年代から70年代までを500点近い作品でふりかえる国立台湾美術館の展示と比較すると、今回の東京展は数10点規模であり、ダイジェスト版ということになる。それでも、1930年代の営業写真館の勃興期、40年代に「三剣客(三銃士)」と称された張才、 南光、李鳴 の活躍、50年代のリアリズム写真とサロン写真の対立、そして写真家としての存在の根拠を問い直す、60年代以降の張照堂ら若手写真家たちの台頭など、台湾写真史の要点を押えて紹介していた。ここでも、「写実攝影(リアリズム写真)」という言葉の範囲が、台湾では日本よりかなり幅が広いことなど、日本との微妙なずれが目についた。
6月15日に開催されたトークライブにもパネラーとして参加したのだが、そこでの金子隆一の発言が興味深かった。政治的な圧力への抵抗や、東京中心の写真ジャーナリズムとの微妙な距離感など、台湾の写真と戦後の沖縄の写真とは共通性があるというのだ。たしかに台湾でも沖縄でも、戦前・戦後に日本(東京)で写真を学んだ写真家たちが指導的な位置に立ち、より若い世代が民族的なアイデンティティを主張して新たなスタイルを模索するということがあった。日本、韓国、中国(大陸)を中心とした東アジアの写真史を、台湾や沖縄のようなファクターを導入することで、細やかに組み換えていかなければならないということだろう。

2015/06/15(月)(飯沢耕太郎)

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