2017年08月01日号
次回9月1日更新予定

artscapeレビュー

谷穹「LAND e SCAPE」

2015年07月15日号

twitterでつぶやく

会期:2015/06/02~2015/06/14

Gallery PARC[京都府]

谷穹は、「古信楽」と呼ばれる、14~15世紀の室町時代に信楽でつくられていた壷や甕などの復元を目指して制作している陶芸作家。信楽の焼き物は、江戸時代に窯の構造や焼き方が変わり、残された文献資料も少ないため、古信楽の焼成方法は現在もわからない点が多いという。谷は、自身で築いた窯を改良し、焼成温度や時間、薪の入れ方などに試行錯誤を加えながら、古信楽の復元を追究してきた。
暖かみのある赤褐色、黒くザラついた「焦げ」、釉薬の流れや溜まり、土に含まれていた長石が溶けて表面にできた乳白色のツブツブ。いずれの器も非常に表情豊かであり、素朴ながら深い味わいを見せる。また観客は、目で愛でるだけでなく、異なる高さに掛けられた器のなかから好きなものを選び、花を活けることもできる。瑞々しく華やかな植物が、器の渋い魅力を引き立てるとともに、観客の能動性や空間への意識を引き出す試みだ。さらに好きな茶碗を選び、仮設の茶室にて席をつくることもできる。古信楽へのストイックな探究心と、器が機能する空間への意識を両立させた個展だった。

2015/06/13(土)(高嶋慈)

▲ページの先頭へ

2015年07月15日号の
artscapeレビュー

文字の大きさ