artscapeレビュー

非在の庭PvQ Part2「井浦崇+大島幸代 "water's edge"」

2012年10月15日号

会期:2012/09/04~2012/09/09

アートスペース虹[京都府]

アートスペース虹で長年行なわれているシリーズの企画展「非在の庭」。今年は、Part1の二瓶晃展と、井浦崇と大島幸代によるPart2の二つの展覧会が開催された。Part1はあいにく見ることができず残念だったのだが、Part2の井浦と大島の個展にはまにあった。発表されたのは水辺の自然の移ろいやそこで見られるさまざまな〈かたち〉の変化をテーマにした音と映像を用いた三つの作品。そのインスタレーションのなかでも、チョークでドローイングを描いた黒板に日本庭園の池の様子を投影する作品は特に面白かった。まるで絵画のようなイメージの映像が黒板に映し出され、そして徐々に霞んでいくのだが、最後には目の前に白いチョークで塗りつぶされた黒板の面だけが現われてハッとする。作品自体が美しいのだが、見ることが視るという意識にするりと変わってしまう不思議にも驚く。Otograph(オトグラフ)というユニットで音楽活動も行なっている井浦と大島の独自の美的センスも発揮されている作品だった。

2012/09/09(日)(酒井千穂)

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