artscapeレビュー

画家・ジェフ・クーンズ

2012年10月15日号

会期:2012/06/20~2012/09/23

シルンクンストハーレ[フランクフルト(ドイツ)]

深川で画廊巡りをした翌日にフランクフルトでジェフ・クーンズを見られるなんて、便利な世の中になったもんだ。昼前に成田を出発し、時差の関係で午後にはフランクフルトに到着。駅前のホテルにチェックインして、さっそく旧市街のシルンクンストハーレへ。事前情報ではシルンで個展ということだったが、行ってみたらシルンは絵画のみ、そこから20分ほど歩いたマイン川沿いのリービークハウスでは彫刻を展示しているという。ともあれ見たかったのは絵画。全長100メートルはありそうな細長いギャラリーに、広告をそのまま拡大したような80年代の初期作品から、元妻チチョリーナとのセックスを撮った《メイド・イン・ヘヴン》シリーズ、お菓子やランジェリー、玩具、宝飾品などのモチーフにマンガやアニメのキャラクターをコラージュした巨大絵画まで、約40点を展示。いずれもキャンヴァス作品で、遠目には写真製版のシルクスクリーンに見えるが、初期と《メイド・イン・ヘヴン》を除きすべて手描きなので驚いた。もちろん本人が描いてるわけではないだろうけど、いちおう「ペインティング」にこだわっているらしい。というより高く売るための戦略かもしれないが。欲望をそそる成金好みのモチーフをリサーチし、それらのイメージを寄せ集めてハデな色彩でまとめ上げた俗悪な絵画ではあるが、ここまで徹底的にやればアッパレ!というほかない。

JEFF KOONS. TRAILER

2012/09/09(日)(村田真)

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