artscapeレビュー
彫刻家・ジェフ・クーンズ
2012年10月15日号
会期:2012/06/20~2012/09/23
リービークハウス[フランクフルト(ドイツ)]
ヨーロッパは寒いと聞いていたが、フランクフルトは東京と同じくらい暑い。しかも飛行機のなかではほとんど寝てないので、彫刻はパスしてホテルに帰って寝ようかと思ったが、共通チケットなのでもったいないから炎天下を歩くことに。ようやくたどり着いたリービークハウスは、古代からバロックあたりまでの彫刻ばかりを集めた美術館。結論をさきにいうと、来てよかったー! 絵画もスゴかったけど、こっちのほうがもっとスゴイかも。なにがスゴイかって、常設の彫刻のあいだにジェフくんの彫刻を置いているのだ。中世の木彫りの宗教彫刻のとなりに金ピカのポパイ像が立っていたり、聖母子像の前にキッチュなブタの彫刻を置いてみたり、バロックの胸像に混じってジェフくんとチチョリーナが見つめ合う胸像があったり、クリスチャンではないぼくでさえ不謹慎を通り越して冒涜的とすら感じるくらいスゴイ。しかもそれが暴力的でなく、どの彫刻をどこに置いたら効果的かを周到に計算したうえでやっているのだ。さすがジェフ・クーンズ、おみそれしました。
2012/09/09(日)(村田真)