artscapeレビュー

シュテーデル美術館

2012年10月15日号

シュテーデル美術館[フランクフルト(ドイツ)]

再びフランクフルトへ。1週間前はジェフ・クーンズしか見られなかったので、今日は拡張したばかりのシュテーデル美術館を訪れる。まずは3階のオールドマスターズ、2階の近代絵画を鑑賞。ここにもファン・エイクの小品をはじめ、デューラー、ラファエロ、レンブラント、フェルメールなどもあって、あらためて「この作品もここにあったのか!」と納得のいくコレクションだ。そして地下に新設された現代美術セクションへ。約3,000平方メートルというだだっ広い真っ白な空間に四角い箱を10個ほど建て、その内外に数百点を展示している。第2次大戦後のドイツ絵画が中心だが、写真も多い。なつかしいのは、最初に見に行った1982年のドクメンタ7に出ていた新表現主義のインメンドルフやミッテンドルフらの作品があったこと。彼らは80年代初頭に華々しく登場したものの、あまり長続きせず消えていったからだ。同じころ出てきたゲルハルト・リヒターやキーファーとは正反対の軌跡をたどったけど、ちゃんとコレクションされているんだね。今回は行かなかったが、フランクフルトにはMMK(近代美術館)もあるのでこれから競合しそう。うらやましい限りだ。

2012/09/16(日)(村田真)

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