artscapeレビュー

TOKYO PHOTO 2012

2012年10月15日号

会期:2012/09/28~2012/10/01

東京ミッドタウンホール[東京都]

4回目を迎えたTOKYO PHOTO。昨年は震災の影響もあって、やや盛り上がりを欠いたのだが、今年は会場の規模も2倍あまりにふくらみ、60あまりのブースで意欲的な展示を見ることができた。写真作品を中心としたアートフェアとして、ほぼ定着したといえるのではないだろうか。
今年の特徴は、タカ・イシイ・ギャラリー、小山登美男ギャラリー、TARO NASU、ツァイト・フォト・サロン、プォト・ギャラリー・インターナショナルなど、日本を代現するギャラリーだけでなく、ガゴシアン・ギャラリー(ニューヨーク、ロンドン、パリ等)、カメラ・ワーク(ベルリン)、ギャルリー・ヴュ(パリ)、マイケル・ホッペン・ギャラリー(ロンドン)、ギャルリー・カメラオブスクラ(パリ)、マグダ・ダニス・ギャラリー(上海)など、アメリカ、ヨーロッパ、アジアのギャラリーも多数参加するようになってきていることだ。すでに写真作品の市場価値が確立している欧米でも、日本の写真の状況への関心が高まっていることのあらわれといえる。ほかにも青幻舎、蔦屋書店、リブロアルテ、SUPER LABOなど、写真集を中心に販売しているブースがあり、石元泰博追悼展、中国・北京の三影堂写真芸術センターの選抜展、エール・フランスの秘蔵写真のコレクション展なども、会場内で開催された。若い層を中心に、観客もかなりたくさん入っているようだった。
問題は、実際に作品が売れているかどうかだが、「昨年よりはまし。だがやはり厳しい」という声がいろいろなギャラリーから聞こえてきた。総じて、すでに評価の高いクラシックな作品にくらべて、現代作家の作品はどうしても動きが鈍いようだ。日本に写真のマーケットを確立しようという主催者側の意気込みは充分に伝わってくる。観客の意識がもう少しポジティブに変わってくることが必要になるだろう。

2012/09/29(土)(飯沢耕太郎)

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