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artscapeレビュー

生誕120年「木村荘八 展」

2013年06月15日号

会期:2013/03/23~2013/05/19

東京ステーションギャラリー[東京都]

木村荘八は牛鍋屋いろはの第8支店に生まれ、浅草の第10支店の帳場を担当しながら絵を描く。初期のころは岸田劉生によく似ているなと思ったら、大正時代に劉生らとともにフュウザン会や草土社の結成に参加した仲間だった。しかし1920年前後からモチーフも画風も大きく変わり、自分が働いていた《牛肉店帳場》をはじめ、《浅草寺の春》《新宿駅》といった身近な生活風俗を描くようになる。これらは正確に再現しているわけではないそうだが、戦前の東京という街の空気を知るには貴重な記録といえる。また舞台を描いた一連の作品は、絵画という虚構のなかに演劇という虚構を設定した「画中劇」として興味深い。ただし人の顔など描写が雑で、絵としての魅力に欠けるのが残念。ちなみに兄の荘太、異母弟の荘十、荘十二らはいずれも作家や映画監督で、荘八もゴッホやミケランジェロなどの翻訳をはじめ著作が多く、文学的才能にも恵まれていた。まあ、古きよき時代の芸術家ですね。

2013/05/02(木)(村田真)

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