artscapeレビュー
アートアワードトーキョー丸の内2013
2013年06月15日号
会期:2013/04/27~2013/05/26
行幸地下ギャラリー[東京都]
チャラい絵が多いなかで異彩を放ったのが伊勢周平の作品。下地を施していないカンヴァスに灰色の円を描き、その下からさまざまな色の絵具が流れ落ちている。つまり灰色の円はいろんな色を混ぜてできたものであることがわかる。ただそれだけのことを完璧な技術で表現し尽くしている。もしこれが灰色でなければ、もしこれが四角であれば、もしこれが横長の画面だったら、まったく異なる意味を有していたはず。彼のみ作品に関してノーコメントと無粋なのもいい。天野太郎賞はうなずける。村田真賞も勝手に追加だ。あと印象に残ったのは、コップを描いた波部早紀子と、食べ物を描いた高木智子。藤田嗣治の《アッツ島玉砕》を黒一色で描き、ラメを散らせた平川恒太の作品も気になる。
2013/05/02(木)(村田真)