2022年12月01日号
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artscapeレビュー

小沢剛 高木正勝 アフリカを行く──日本とアフリカを繋ぐ2人のアーティスト

2013年06月15日号

会期:2013/05/25~2013/06/09

ヨコハマ創造都市センター[神奈川県]

第5回アフリカ開発会議(TICAD5)の開かれている横浜で、その「パートナー事業」として行なわれた展覧会。小沢剛と高木正勝の2人展で、どちらもアフリカをテーマにした新作を見せているが、小沢が抜群にサエている。ふだんあまり縁のないアフリカと日本をつなぐものを考えて、そこに福島の原発事故が頭をよぎり、出てきた解が野口英世。福島出身の野口は、アメリカを経てアフリカに渡り、みずからの研究対象だった黄熱病に罹ってガーナで死去した細菌学者だ。これは絶好のネタ! と小沢が叫んだかどうかは知らないが、さっそくアフリカに渡って現地の看板屋に野口の生涯を描いてもらったのが、1階に展示されている8枚の大画面《帰って来たDr. N》だ。節約のためか、横長の画面を左右2場面に分けている。描かれているのは日本人のはずだが、顔も衣装も背景も日本なのか中国なのかアフリカなのかわからず、思わず笑ってしまう。また文字を覚えたDr. Nの母からの手紙は、ひらがなっぽいけどハングルにも似た不思議な書体で書かれ、頭がクラッとする。そのかたわらには野口自身の筆になる油絵も飾られているが、本物かよ。最後はDr. Nの子孫が福島に里帰りし、放射能汚染を調査するというストーリー。TICADの主旨がいつのまにか原発問題にスリ替わっているのだ。これで日本がアフリカに原発を輸出するのは難しくなった(としたら大成功)。

2013/05/31(金)(村田真)

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