2022年07月01日号
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artscapeレビュー

牧野邦夫「写実の精髄」

2013年06月15日号

会期:2013/04/14~2013/06/02

練馬区立美術館[東京都]

2月に練馬区立美術館でやっていた「小林猶治郎展」を見て、牧野虎雄の絵と似ているなあと書いたら、今度は「牧野邦夫展」だ。ビミョーに違いますね。ほかにも牧野義雄なんて画家もいてややこしいのだ。タイトルにもあるように、牧野邦夫は「写実の精髄」をきわめようとした画家になっているが、作品を見ると写実画というより幻想画でしょう。恥毛もあらわな女性ヌードとか、騎士?に扮した自画像とか、日本的モチーフと西洋画法の混在がキッチュ・悪趣味を増幅させ、それゆえ見ていて楽しい。孤塁を守った画家らしいが、あえて位置づければ、神仏混淆させた牧島如鳩や、エロねーちゃんを得意とした古沢岩美のような、戦前・戦後に現われた日本特有の幻想絵画の系譜に連なるだろう。こうした日本的な、いいかえれば生活くさい=貧乏くさい幻想絵画をぼくは「四畳半シュルレアリスム」と呼んで愛しているが、絵画的にはものたりないところがある。それは、彼らに世代が近いフランシス・ベーコンやルシアン・フロイドといったイギリスの画家たちの作品と比べてみると、違いがはっきりわかる。牧野らの絵は「文学性」に引きずられてる分、「ペインティング」というメディウムに対する意識が明らかに低いのだ。

2013/05/15(水)(村田真)

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