artscapeレビュー
イシノマキにいた時間
2013年06月15日号
会期:2013/05/29~2013/05/30
せんだい演劇工房 10-BOX[宮城県]
仙台の10-BOXにて、「イシノマキにいた時間」を観劇する。震災から8カ月後にあたる2011年11月初旬、人が減った時期のボランティアたちの物語。被災者ではなく、よそ者ながら現場にかかわりをもった登場人物ゆえに、ある意味でより多くの人に訴える。多くの人は被災地に住まない、非被災者だからである。前半はコミカルな進行だが、後半はボランティアをめぐる悩みと葛藤に展開していく。そして演劇の終了後、最新の状況なども紹介する。これは石巻の伝道師としての演劇と言えるだろう。以前、石巻のドキュメント映画を仙台でみたとき、東京や大阪で3.11作品を見るのとは全然違う雰囲気だった。自分たちの体験が映画/物語になっているという没入感と記憶の再現ゆえだろうか。今回の10-BOXには石巻の人も多く訪れ、たぶん被災地以外で見るのとは異なる空気が流れていた。
2013/05/29(水)(五十嵐太郎)