2020年08月01日号
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artscapeレビュー

松岡一哲+川島小鳥 写真展「未来ちゃん」

2010年05月15日号

会期:2010/04/08~2010/04/25

THERME GALLERY[東京都]

テルメギャラリーの「5ケ月連続2人写真展」の最後に開催されたのは、ギャラリーの主宰者のひとり、松岡一哲と、最近ポートレイトを中心に注目を集めはじめている川島小鳥の「未来ちゃん」。「未来ちゃん」というのはモデルになっている女の子の名前ではなく、「未来」のある子どもということだった。
松岡が撮影している岐阜のピアノ教室でバレエの練習をする「いおりちゃん」(ちょっと北朝鮮の女の子のようだ)も悪くないのだが、なんといっても川島撮影の佐渡島の「つばさちゃん」の存在感が際立っている。ぶっとい眉にリンゴのほっぺ、鼻を真っ赤にして青ばなを垂らすような女の子は、いまどきあまり見かけないのではないだろうか。昭和レトロチックな家と佐渡の寒々とした自然環境を、縦横無尽に行き来する野生児ぶりには目覚ましいものがある。子どもは本来、人間と動物と魔物のちょうど中間あたりの存在だと思うが、都会ではそういう子を見かけるのも稀になってきた。「つばさちゃん」はこうあってほしいという子どもの未来像の、ひとつのかたちを示しているように思う。川島のカメラワークも、何かに取り憑かれているように冴えわたっている。
なおテルメギャラリーから出版されている「THERME BOOKS」の第5弾として、川島小鳥『未来ちゃん』も同時刊行された。B6判の小ぶりな写真集だが、しっかりした造りでなかなかいい。

2010/04/09(金)(飯沢耕太郎)

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