artscapeレビュー
森下泰輔「藝術資本論」
2010年05月15日号
会期:2010/03/27~2010/04/10
サテライツ・アートラボ[東京都]
神保町の裏通りにできた銀座芸術研究所のサテライト。森下は、レンブラントの《水浴の女》をはじめ、クールベ《世界の起源》、マネ《草上の昼食》、ピカソ《赤い椅子にすわる裸婦》など名作の模写の横に、バーコードを描いた同サイズのタブローを併置した。模写した名作は、どれも女性を性的欲望の対象として描いたものばかり。そうした描く側(男)と描かれる側(女)の関係は、「他者の欲望」を「象徴交換」する「資本主義」の本質に近いと森下はいうのだが、そんな理屈より、まずはその模写の技術に目を奪われてしまう。笑えるのは、スターツヴァントの《L.H.O.O.Q.》の模写。スターツヴァントはシミュレーショニズムのアーティストで、《L.H.O.O.Q.》といえばデュシャンが《モナ・リザ》にヒゲを描き加えたパロディ作品。つまりこれ、レオナルドを引用したデュシャンをパクったスターツヴァントを模写した森下のオリジナル作品なのだ。
2010/04/01(木)(村田真)