artscapeレビュー

絵画の庭──ゼロ年代日本の地平から

2010年05月15日号

会期:2010/01/16~2010/04/04

国立国際美術館[大阪府]

これはぜひ見たかったので、終了まぎわに駆け込む。数年前の欧米の絵画を集めた「エッセンシャル・ペインティング」といい、今回の「絵画の庭」といい、なぜか東京の美術館が避けたがる絵画展に正面切って挑戦する姿勢は、このさいホメ倒しておきたい。出品は、現代日本特有の具象画に取り組む28人による約200点。地下2、3階の展示室全体を使って、それぞれが街の画廊程度の広さに区切られたブースで個展形式で作品を見せているので、見ごたえがある。未知の作家も何人かいたが、やはり絵画的構造をしっかり把握している厚地朋子や池田光弘、構造より絵画の快楽を前面に押し出す長谷川繁らにあらためてすばらしさを感じた。一方「例外」とはいえ、明らかに世代的にも作品的にも違和感のある草間彌生がなぜ入っているのか、逆に、展覧会の中心(または起点)に据えてもいい村上隆の出品がなぜ叶わなかったのか、言い出せばキリがないが、そんな不満を帳消しにしておつりが来るほど充実した展示だったといっておこう。ああ大阪へ行ってよかった。

2010/04/03(土)(村田真)

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