2019年08月01日号
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artscapeレビュー

SEOUL PHOTO 2010

2010年05月15日号

会期:2010/04/29~2010/05/03

Coex Hall B[韓国・ソウル]

今月は忙しい月で、中国から帰った次の週には韓国・ソウルへ飛んだ。写真に特化したアート・フェア「SEOUL PHOTO」に参加するためである。このイベントは2008年から始まったが、最初の年はプレ・イベントだったので実質的には今回で2回目。今年は韓国と日本の22のギャラリーがブースを構え、さらにスペインの写真家たちの特集が組まれ、日本の新人写真家育成プロジェクト「写真ひとつぼ展」(リクルート主催)、「Juna」(ニコン主催)、「写真新世紀」(キヤノン主催)に入賞した若手写真家たちの作品が「Beyond the Award」という枠で展示されていた。ほかにシンポジウムやゲスト作家の森村泰昌の展示(「女優」シリーズ)やトーク・スライド上映などもあり、なかなかしっかりしたプログラムだった。
ただ、見本市会場のような広いスペースの割には参加ギャラリーの数が少なく、ややスカスカの印象は拭えない。韓国のARARIO GALLERYやKukje Gallery、日本のツァイト・フォト・サロンやエモン・フォト・ギャラリーのように、見応えのある作品を持って来たギャラリーもあったが、全体的には盛り上がりに欠けているように感じた。隣の会場で開催されているカメラ・ショーが大変な賑わいなのにくらべると、観客の反応もどこかクールなのだ。実際、いくつかのギャラリーに取材したところでは、あまり作品も動いていないようだ。写真作品の市場開拓というのが大きな目標のはずなので、その意味ではイベントとしてはあまり成功とは言えないだろう。
それでも、昨年の「TOKYO PHOTO」と比較しても、韓国ではこの種の催しがかなりきちんと根づきかけていると感じる。会場には若い学生たちの姿も目立っていたが、たとえば彼らにとっては、展示を見ることで作品制作の具体的な目標をしっかりとつかむことができるだろう。最終的には中国や台湾を含めた、東アジア地域全体の写真と写真家の交流を図る必要があると思う。その拠点として、東京はもはやソウルや北京の後塵を拝しているのではないだろうか。

2010/04/29(木)(飯沢耕太郎)

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