artscapeレビュー
Andrea Deplazes『Constructing Architecture』
2010年05月15日号
発行所:Birkh user
発行日:2005年
ETHの教授であり建築家であるアンドレア・デプラゼス編著による約500ページの大著。ETHやイタリア語圏スイスのメンドリシオ建築学院では、教科書としても使われているという。原理的な解説も多いが、それ以上にズントーやオルジャッティなどの具体的なプロジェクトの詳細図などを教科書的に使っているという点が興味深い。日本との建築教育では、なかなかディテール図面を見せながらの解説はしない。また、すべての構成が非常に明快である。例えば、形態は、テクトニックと空間に分類され、テクトニックは、素材、境界、構造、形状、次元に、空間は、視覚、触覚、感覚、嗅覚、時間感覚、聴覚に分類される。それぞれがさらに細分割されていく。透徹された構造と建築的思考が浮かび上がる本であり、表紙にはハンドブックとも書いてあるが、単なるハンドブックではない。ぜひ邦訳が出るべき本だと思う。
2010/04/05(月)(松田達)