artscapeレビュー

佐々木耕成 展「全肯定/OK.PERFECT.YES.」

2010年05月15日号

会期:2010/04/23~2010/05/23

3331アーツチヨダ[東京都]

連休初日に訪れる。3331は廃校となった旧練成中学校を改修したアートセンターで、ギャラリー空間は床まで真っ白なホワイトキューブ。その壁面を埋めつくすように約50点の絵が並んでいる。EやHみたいな記号的形態に赤、青、黄色などの原色をフラットに塗った抽象画。半世紀ほど前の前衛絵画といった印象だ。しかもそれが合板にペンキという安っぽい素材で描かれているのだから、どっちかというとアウトサイダー系を想起させる。しかしこの場合、描かれた内容とペカペカな素材が奇妙にも一致していることに注目したい。作者の佐々木耕成は今年82歳。60年代に前衛芸術運動を展開し、その後ニューヨークに滞在。帰国後は美術界との関係を断って群馬県の赤城山麓にこもり、10年ほど前から絵画制作を再開。近年ますます旺盛な制作意欲を見せているという。それを聞いて納得。彼にとって「なにを描くか」「なにで描くか」「いかに描くか」などもはや問題ではなく、ただ「描き続けること」が重要なのだ。

2010/04/29(木)(村田真)

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