2020年12月01日号
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artscapeレビュー

大和田良「Log」

2010年05月15日号

会期:2010/04/22~2010/04/28

キヤノンギャラリー銀座[東京都]

大和田良は1978年仙台生まれ。2004年に東京工芸大学大学院を修了して、フリーの写真家として活動しはじめた。このところ急速に力を付けつつある30歳前後の写真家たちの代表格ともいえるだろう。2006年にスイス・ローザンヌのエリゼ美術館で開催された「ReGeneration: 50 Photographers of Tomorrow」展に選出され、2007年には写真集『prism』(青幻舎)を刊行するなど、早くからその仕事が注目されてきた。ただセンスのよさは感じるものの、いまひとつ狙い所がはっきりわからず、評価がむずかしいと感じていた。
だが、今回の個展(大阪、名古屋、福岡、札幌、仙台のキヤノンギャラリーに巡回)を見て、その知性と感性と技術とが絶妙なバランスを保った作品世界は、もっと大きく展開していく可能性を持っているのではないかと思った。ただし、いまのところ彼が中心的なテーマと考えている日々の「観察と記録」を、日誌(Log)のようにまとめていくシリーズは、より注意深く組織化していかないと、とめどなく拡散していく危険を感じる。個々の作品を結びつけていく「美しさ」という基準が、まだひ弱なものに感じられるのだ。それよりはむしろ、今回は展示されていなかったが、もっとコンセプチュアルな志向性の強い「Type」(数字とアルファベット)、「Banknotes」(紙幣)、「Wine Collection」(ワインの色味のコレクション)といった作品群の方に、彼らしい鋭敏な感覚と細やかな手わざの妙がよく発揮されていると思う。これらをさらに深化させていくか、「Log」シリーズとうまく合体させていくことで、新たな方向性を見出すことができるのではないだろうか。

2010/04/22(木)(飯沢耕太郎)

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