2020年02月01日号
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artscapeレビュー

マイ・フェイバリット:とある美術の検索目録/所蔵品から

2010年05月15日号

会期:2010/03/24~2010/05/05

京都国立近代美術館[京都府]

考えてみれば所蔵作品の分類と整理、系統化を重要な業務とする美術館において【その他】というカテゴリの作品資料があるのはやはり興味深い。絵画、彫刻、工芸、写真、デザインといった表現や、油彩、水彩、版画、陶芸など、技法の分類ににおさまりきらなかった【その他】の作品群を、それらと関係する資料もあわせて約300点展示した今展。分類上の名称でその位置を固定されなかったゆえの新しい物語や変化の可能性を孕んでいるという意義を示すとともに、美術作品のデータベース化が進み、分類の統合とさらなる細分化が迫られる美術館の制度と現状にも問いを投げかける、京都国立近代美術館で【その他】という項目が設けられてはじめて登録された作品は、マルセル・デュシャンの《ヴァリーズ(トランクの中の箱)》なのだそうだが、会場の展示もデュシャンから始まり、プレイベントとして講演会も開催されたK・ヴォディチコのほか、W・ティルマンス、やなぎみわ、倉俣史朗、横尾忠則、澤田知子などじつにさまざまな作品が並んでいた。関連資料を添えた展示構成は【その他】のコレクションの歴史や歩みを丁寧にたどるもので、じっくり見ると何時間もないと足りないほどのボリューム。そこに学芸員の同館への敬意と愛ががうかがえたのがなによりステキだ。

2010/03/24(木)(酒井千穂)

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