artscapeレビュー

2014年06月15日号のレビュー/プレビュー

柴山水咲 展「人の鏡」

会期:2014/05/27~2014/06/01

アートスペース虹[京都府]


描かれているのは主に、植物。ドローイングは30枚ほどで、絵には染みが施されている。始めはこの染みが、美しいドローイングをどうも見えづらくしているもやのようにも見えたが、それが指のように見えた瞬間、人の影なのだと腑に落ちた。これはこの絵と対峙している作家自身なのだ。壁一面にランダム気味に貼られていたのはとても躍動的で、1枚1枚に時間や空間、身体性までもが込められた絵としても美しかった。そういえばタイトルは人の鏡……。

2014/06/01(日)(松永大地)

o/t/c scene.30 "音楽とたたかうこと/たたかわないこと/その廻りの賭け事”

会期:2014/06/01

UrBANGUILD[京都府]

ライブを楽しむときに、個人的にいつも気にしていることがある。一つの曲が終わろうとしているときに、最後の音の余韻をどのぐらいとるか、そのアーティストが曲をどこで終わりとしているか。そんな音楽の立ち表れ方(立ち消え方)について、本イベントのステートメントに書かれていたのが気になっていた。同イベント主催の中川裕貴は「次に演奏する2曲の間の切れ目はどこでしょう」なんてクイズを出したりしていたけど、音楽という概念が解体されたり、創出されたりするような「ゆさぶり」に興奮した。出演は、同イベント主催の中川裕貴、バンド、ゲストの空間現代、アサダワタルのDJ話芸。

2014/06/01(日)(松永大地)

プレビュー:林勇気 展「光の庭ともうひとつの家」

会期:2014/06/21~2014/07/13

神戸アートビレッジセンター 1F/KAVCギャラリー[兵庫県]

自分で撮影したり、インターネット検索で集めた膨大な写真をひとつずつ切り抜き合成する独自の手法でアニメーションを制作している林勇気。もうすぐ始まるその個展が面白そうだ。今展では一般から募集したアンケートをもとに、建築家のNO ARCHITECTSが回答者の理想の家を設計、そしてインターネットから見つけ出した写真データを素材に林が「光の庭」という架空の場所の映像を制作している。アンケートの回答者はその映像のなかに建てられた「もうひとつの家」を500円で購入し「光の庭」の住人となる。インターネット上にも“課金”して家を建てるゲームがあるが、現実の金銭で仮想世界のモノや場所を手に入れるという感覚やそのようなゲームの世界を可視化した今回の作品からは、ネットを介した他者とのつながり、コミュニケーションの有り様など連想も喚起されそう。

2014/06/15(日)(酒井千穂)

プレビュー:バルテュス展

会期:2014/07/05~2014/09/07

京都市美術館[兵庫県]

6月22日まで、東京で開催されているバルテュスの没後初の回顧展が京都に巡回する。紹介されるのはメトロポリタン美術館、ポンピドゥー・センターをはじめ、世界各地から集められた初期から晩年までの油彩画40点以上と、素描、愛用品などの100点あまり。バルテュスといえば、チラシにも掲載されている《美しい日々》や、《夢見るテレーズ》など、少女を描いた作品がまず思い浮かぶが、今展では浮世絵の影響がうかがえる《 朱色の机と日本の女 》、歌舞伎に着想を得たという《 トランプ遊びをする人々 》など、日本との関わりを示す作品も展示される。初期から晩年までの作品をとおして創作の変遷とその背景をたどる今展、スイスのロシニエールにあるアトリエの再現展示なども含め、見どころが多く見逃せない。

2014/06/15(日)(酒井千穂)

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プレビュー:「ただいま。カーネーションと現代美術」プレ展

会期:2014/07/08~2014/07/12

Calo Bookshop & Cafe/ Calo Gallery[大阪府]

今年9月3日~10日に岸和田市立自泉会館で行われるという、岸和田市やその周辺の出身/在住の現代美術アーティスト5人を紹介する展覧会のプレ展。
稲垣智子、大﨑のぶゆき、西武アキラの美術作家3名に加えて、芥川賞作家の吉村萬壱による出品も(9月の本編では永井英男も出品)。現代美術家+小説家という組み合わせも興味深いが、それぞれ海外での発表も多い作家ばかりで、それゆえに、客観的なテーマとして、ホーム(南大阪)がテーマとなるのだろう。最終日には出品作家によるトークショーが開催される。

2014/06/15(日)(松永大地)

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