2019年09月15日号
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artscapeレビュー

2015年04月15日号のレビュー/プレビュー

第7回絹谷幸二賞贈呈式

会期:2015/03/16

学士会館[東京都]

絹谷幸二賞はかつての安井賞の精神を受け継ぐ(?)具象系絵画の登竜門だが、賞の贈呈式があるだけで展覧会がないのが残念なところ。ぼくは2回目から作家を推薦してるけど一度も贈呈式に出たことがなかったが、今回初めて推薦作家が奨励賞を受賞したので出ざるをえなくなった。ぼくの推薦したのは、近代日本の画家や評論家を群像として描いた《日本の美術を埋葬する》で話題を呼んだ、久松知子さん。今年の岡本太郎現代芸術賞展でも岡本敏子賞を獲得するなど急上昇中だ。ちなみに絹谷幸二賞はベルベット地に土俗的な図像を油彩で描く谷原菜摘子さん。贈呈式にはもちろんふたりとも出席していたが、驚いたのは谷原さんが艶やかなピンクの和服姿なのに、久松さんはいつも着ている赤と緑のジャージ姿で現われたこと。でもこれは絵のなかの彼女自身(群像のなかに自画像として描き込んでいる)のスタイルに合わせたもので、彼女のトレードマークなのだ。それにしても出席者の大半が正装なので浮きまくってる! 大した度胸だ。

2015/03/16(月)(村田真)

台湾総督府

[台湾台北市]

周囲を厳重警戒されている台湾総督府は、これまで何度も外側から見ていたが、今回は事前予約をして、内部見学を申し込む。ただし、貴重なインテリアの空間をまわるものではなく、1階の展示と中庭をめぐるガイド付き案内だった。展示の前半は、建築、台湾の日本との関係史、後半はやや宣伝めいているが、光復後(戦後)の政治、経済、社会を紹介しており、勉強にはなる。前半において、児玉源太郎や後藤新平の名前が出てくるのはわかるが、八田與一が結構リスペクトされていたのが興味深い。個人的に金沢ふるさと偉人館の展示で初めて知った人だが、石川県出身の土木技術者である。特に労働者の村を設置しながらの、ダム建設のプロジェクトが詳細に紹介され、台湾から感謝されているようだ。もっとも、その真下の展示は、『セデック・バレ』の映画で知られるようになった霧社事件のコーナーで、日本への抵抗運動であり、複雑な気分になる。

2015/03/17(火)(五十嵐太郎)

《台湾大学社会科学部棟》

[台湾台北市]

《台湾大学社会科学部棟》も、伊東豊雄が設計しており、改めて台湾における彼の人気の高さがうかがわれる。特に巨大な校舎に付属する図書館の空間が素晴らしい。白い蓮の葉状の単位が不規則に並び、その隙間から光が漏れ、藤江和子の家具が迷宮のように絡む。伊東の《多摩美図書館》、石上純也の《KAIT工房》、フランク・ロイド・ライトの《ジョンソン・ワックス社》などの前例を統合しつつ、前進させたデザインだろう。

2015/03/17(火)(五十嵐太郎)

《剣潭駅》

[台湾台北市]

ど派手な造形の《剣潭駅》へ。この駅前に現在、OMAによる《台北パフォーミングアーツセンター》を建設中である。5年前くらいに台湾で、巨大な球体が印象的なコンペ案の模型展示を見たが、骨組みはもうほぼ出来上がり、全体のヴォリューム感がわかる。OMAらしいアイコン性に富む。台中はオペラハウス、高雄はメカノのプロジェクトがあり、都市間競争が各地で個性的な建築を生み出している。

写真:上=《剣潭駅》 下=建設中の《台北パフォーミングアーツセンター》

2015/03/17(火)(五十嵐太郎)

イミテーション・ゲーム──エニグマと天才数学者の秘密

帰りの飛行機で見た映画「イミテーションゲーム」が面白い。少年時代、ナチス・ドイツの暗号エニグマの解読プロジェクト、戦後の自殺前の事件という3つの時間を行き来しながら、数学者アラン・チューリングの生涯を描く。現在われわれが使っているコンピュータの基礎につながる、でかいマシーンの造形がカッコいい。

2015/03/17(火)(五十嵐太郎)

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