2020年07月01日号
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artscapeレビュー

野田裕示 絵画のかたち/絵画の姿

2012年02月15日号

会期:2012/01/18~2012/04/02

国立新美術館[東京都]

いま国立新美術館で野田裕示の個展が開かれるというと、「なぜ?」どころか「だれ?」といわれかねないが、70年代に美大に通っていたぼくらの世代にとって野田の名は輝かしいものだった。なぜなら彼は多摩美を卒業した翌1977年に、最年少作家として南画廊で個展を開いたからだ。南画廊とはまだ現代美術を扱う画廊がほとんどなかった当時、もっとも勢いのあった現代美術専門の画廊であり、そこで個展を開くとはもう将来を約束されたようなもの(とぼくは勝手に信じていた)。が、80年代に入ってからはいわゆるニュー・ウェイヴの一群に押されて、野田の名は徐々にフェイドアウトしていく。だから今回の個展は当然70年代の作品から並ぶと期待していたのだが、なぜか省かれ、80年代から始まっているのだ。作品が現存しないのか、それともその後の仕事との整合性がつかないからなのかはわからないが、とにかく70~80年代の美術に関心のある者にはちょっと残念。それでも、ジャスパー・ジョーンズあたりに触発されたレリーフ状の作品から、どこか琳派の屏風を思わせる近年の平面まで、約30年におよぶ140点もの作品は圧巻というほかない。具象的な形態や記号を連想させるイメージは、すでにポストモダニズム絵画に親しんだ目には古くさく感じられるものの、着実に変化していく仕事の展開は十分に納得できた。

2012/01/21(土)(村田真)

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