2020年07月01日号
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artscapeレビュー

宮北裕美「S・P・A・N・K」展

2012年02月15日号

会期:2012/01/14~2012/01/29

MEDIA SHOP[京都府]

ダンサー、振付家として京都を拠点に活動している宮北裕美が初めての個展を開催。黒い紙にペンやパステルで描いた小さなドローイング作品が展示されていた。昨年から少しずつ描きためていたというそれらには一枚ごとに日付も記されている。展覧会のタイトルに似合うようなイメージを選んで展示したというが、一見、落書きのように画面のあちこちに散りばめられた線や図形、ユーモラスで奇妙な生き物たちのモチーフは、よく見るとどれも丁寧に描かれていて、音や光が勢いよく弾けるイメージ、というよりも、むしろ緩やかなリズムを感じる散文のような印象のものが多かった。絵はお世辞にも上手いとは言えない(失礼)。ただ、よくある「ヘタウマ」とか、意図的にかわいらしくアレンジされたものとは違う、なんとも言いがたい魅力があった。絵のなかの登場者や言葉のような模様を眺めていると、宮北の記憶、彼女だけが「所有」している物語や光景に想像が掻き立てられていく。初日には、宮北がサウンドアーティストの鈴木昭男さんと昨年から定期的に行なっているパフォーマンスセッション《空っぽ「ぽんぽこりん♪」》のライブイベントも開催された。二人のアーティストはそれぞれの音や動作にべったりと合わせるでもなく、かといって勝手気ままに踊ったり演奏している様子でもない。つかず離れず、音とダンスという互いの一瞬の印象から閃いたものを表現しているように見える。緊張感はあるのが、迷いはない。宮北の絵にも通じる雰囲気だ。


パフォーマンスセッション《空っぽ「ぽんぽこりん♪」》の風景。宮北裕美(左)と鈴木昭男(右)

2012/01/14(土)(酒井千穂)

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