2020年07月01日号
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artscapeレビュー

おとなが学び合うこどもの声&フォーラム「研修バスツアー──メリーゴーランド(三重県四日市)へ行こう」

2012年02月15日号

会期:2012/01/29

子どもの本専門店メリーゴーランド[三重県]

RACOA企画の研修バスツアー。この1週間前に事前勉強会で紹介されたエッセイ集『子どもの本屋はメリー・メリーゴーランド』(晶文社、2001)の著者、増田喜昭さんの遊び心に溢れた幅広い活動とその人物像にますます興味が湧き、さっそく本も取り寄せて読了。「あそびじゅつ(遊美術)」というワークショップ教室をはじめ、2009年にオープンした「四日市こどものまち図書館」の活動など、町の子どもたち(や大人達)との交流やその在り方に新鮮な感動を覚えてさらに胸が躍った。昼食の後、ミュージシャンであり美術家でもある「あそびじゅつ」の講師、重盛ペンギンさんのトーク。「あそびじゅつ」のこれまでの活動や方針、エピソードなどが語られた後、ペンギンさんとともに全員で増田喜昭さんの本にも登場する近所の神社、その先にある「四日市こどものまち図書館」の見学に出かけた。「四日市こどものまち図書館」は増田さんが理事を務めるNPO法人「四日市こどものまち」が運営する図書館。といっても建物は古い民家がそのまま利用されていて、書架が並ぶ空間は畳。掘りごたつもある。土曜にオープンしているこの図書館、来る子どもたちは本やマンガを読んだり、弁当を食べたりごろごろしたり、好き勝手に過ごして行くのだという。その後、別のイベントで増田さんの講演が行なわれるというので一行は再び「メリーゴーランド」へ。正確にはこの建物は1階が書店「メリーゴーランド」、2階が「あそびじゅつ」の教室、3階はさまざまなイベントや習い事の教室に使われる「ときわ文化センター」というホールになっている。ホールで行なわれた講演は、おもに増田さんが欧米のチルドレンズミュージアムを廻ったときのリポートだった。「四日市こどものまち図書館」の活動もそのときの衝撃と感動から始めたのだという。そしてその後、今回のRACOAバスツアーのためのトークが行なわれる。電車を使って「メリーゴーランド」を訪ねてくる人が道を聞くだろうと思われる駅前のタバコ屋のおばあさんに「あっちだ」と指差してもらいたいがゆえに看板を設置しなかったというエピソードをはじめ、増田さん独特の人々とのコミュニケーションの取り方や、地域の人々との交流にまつわる話が特に魅力的で、アートの活動においても参考にしたいものだった。それにしても素晴らしい話術。ふと目を移すと、他の参加者たちが、まさに目を輝かせて食い入るような表情で話に聞き入っていたのが忘れられない。収穫の多い有意義なバスツアーだった。再びRACOAのスタッフに感謝。


左=四日市こどものまち図書館
右=同、1階


「あそびじゅつ」のワークショップルームでのトーク

2012/01/29(日)(酒井千穂)

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