artscapeレビュー
京都府美術工芸新鋭展 京都美術・工芸ビエンナーレ2012
2012年02月15日号
会期:2012/01/04~2012/01/19
京都文化博物館[京都府]
京都府美術工芸新鋭展は絵画、彫刻、版画などの美術分野と、漆芸、陶芸、染織、金工、人形などの工芸分野が隔年で開催される選抜展なのだが、今年は「国民文化祭・京都2011」開催記念として両方の展示が行なわれた。本展には全国からの応募作品により選抜される「公募部門」と、審査員が推薦した作家、および芸術系大学、専門学校などが推薦する若手作家の「招待部門」があり、展示スペースもそれぞれの部門ごとに区切られている。美術分野の審査員による推薦では、中山玲佳、樫木知子、英ゆうなど、現在あちこちで活躍を目にする作家たちが紹介されていた。多くの作品のなかで、工芸分野では、ダイナミックで色鮮やかな抜井聡美の型絵染作品《夢をみていたフラミンゴ》、美術では、藤井俊治の油画《名前も知らないパレード》など、瑞々しい感性や力強さが印象に残る作品があった。しかし、美術、工芸分野のどちらも、副賞金が贈られる大賞に、この方々はベテランとされる作家では?と思う活動歴の長い作家が選ばれていたのが気になった。もちろん「新鋭」の評価は年令(若さ)重視というものではないだろうが、それにしても新進作家の育成を図るという本展の趣旨とは噛み合わず迷走している印象も否めない。
2012/01/07(土)(酒井千穂)