2020年07月01日号
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artscapeレビュー

鈴木昭男×宮北裕美×鈴木孝平「新春!こころのかくれんぼう」(コレクション展 第1期 関連イベント)

2012年02月15日号

会期:2012/01/15

京都市美術館[京都府]

宮北裕美の個展に行った翌日だが、コレクション展 第1期「京都にさぐる 美術の『こころ』」を開催中の京都市美術館でも宮北と鈴木昭男、そして映像作家の鈴木孝平によるライブパフォーマンスが行なわれるというので見に行った。美術館の敷地内をめぐるというツアー形式。らせん階段のある一階ホールに観客が集まり、赤いリンゴ(レプリカ)を手に持った宮北が登場して静かにパフォーマンスが始まったのだが、しばらくすると彼女の姿は消え、ホールに設置された巨大スクリーンに別の場所で踊っている宮北が映し出された。そこに階段の上から鈴木昭男が現われて、過去の展覧会カタログを載せた台車とハタキをつかったパフォーマンスや創作楽器アナラポスの演奏などが行なわれ、その後、一般鑑賞者のいる展示室を通り抜けて、美術館の外、別棟のレクチャールームへと移動するという流れ。宮北と鈴木昭男の真剣な(?)鬼ごっこのような掛け合いを遠巻きに見ながら、観客も二人にぞろぞろとついて行くことになるのだが、面白かったのは観客のなかに小さな子どもがいて、最後には出演アーティストよりも注目を集めていたこと。レクチャールームに集まった人々が着席し、静かに会場の様子を見守るなかで「ねえ、なんで電気消えたの?」「ねえ、なんで寝てるの?」というかわいらしい声が立て続けに聞こえてくるから、一斉に失笑が起こる。「ハーメルンの笛吹き」についてきた子どものような大人の集団が、ここで別の「笛吹き」にさらわれた、という感じだった。美術館に眠る「こころ」や「記憶」を掘り起こすというテーマがあったこのイベント。想定外のハプニングもあって予定通りとはいかなかったようだが、それでも参加者のいろいろな「記憶」を刺激するものになって、その結果は吉と出ていた気がした。


ライブ風景。宮北(左)と鈴木(右)

2012/01/15(日)(酒井千穂)

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