2020年07月01日号
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artscapeレビュー

古川松平 展

2012年02月15日号

会期:2012/01/23~2012/01/28

Oギャラリーeyes[大阪府]

作家が高校時代を過ごした学校の校舎、教室や自転車の駐輪場などをモチーフに描いた作品が展示されていた。これらは今展までに実際に学校まで取材に出向いたり、過去の写真を元にして描かれているという。ただ単純にセンチメンタルでノスタルジックなイメージというものではなく、むしろどこか映画のような近未来的な光景を想起させるのは、描かれた風景のなかに唐突に、底なしのブラックボックスのような箱型のモチーフが登場していたり、まぶしい光、パースがおかしい構造物など、歪なイメージが表わされているせいだろうか。時の経過とともに新たなイメージをともなって少しずつ上書きされていくような記憶、風景の思い出という作家自身の感情体験を再構築した絵画。作風の印象は以前のそれとは異なれど、プライベートな過去の記憶や時間にアプローチするという点や、憧憬という言葉が浮かぶような密やかな幸福感や期待感がともなっているのは以前の作品にも通じている。今後も楽しみにしている。

2012/01/28(土)(酒井千穂)

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