2019年07月15日号
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artscapeレビュー

葛西優人「Sail to the Moon」

2014年08月15日号

会期:2014/06/23~2014/07/10

ガーディアン・ガーデン[東京都]

2009年から開始されたガーディアン・ガーデンの「1_WALL」展(リクルート主催)も回を重ねて、既に9人のグランプリ受賞者を輩出した。今回開催されたのは、その9回目の受賞者、葛西優人の個展である(審査員は鷹野隆大、土田ヒロミ、姫野希美、増田玲、町口寛)。
男子二人によって生み出されていく性の領域を、どこか思わせぶりな写真の連なりとして提示するセンスは悪くない。大小の写真を壁面に並べていくスタイルも手慣れた感じがする。だが、どこか既視感を覚えてしまう。これはちょっと困ったことで、葛西の写真に取り組む真摯な姿勢は好感が持てるし、作品世界の構築の方向性も間違っていないにもかかわらず、着地点がどうもうまく見えてこないのだ。
顔がほとんど見えず、クローズアップが多く、断片的に切り取られた不分明な画像が並ぶ写真の構成・展示のあり方そのものを、再考する必要があるのかもしれない。別にわかりやすい写真にしなくてもいいのだが、被写体をもう少しストレートに見据えて、丁寧に撮影してもいいのではないだろうか。鷹野隆大が「彼は不器用なタイプの人間である」というコメントを寄せているが、僕にはそう思えない。少なくとも写真展の構成に関しては、器用にまとめてしまったように見えてしまう。「不器用」を最後まで貫き通してほしいものだ。

2014/07/09(水)(飯沢耕太郎)

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