artscapeレビュー
《如風庵》、《凱風館》
2014年08月15日号
[兵庫県]
光嶋裕介の案内により、中島工務店神戸支店にて、建築模型を見学した後、竣工間近の《如風庵》の現場を訪問した。久住有吉による左官の仕事が光る、うねる大きな壁が印象的な住宅である。いわゆる抽象的な白模型ではなく、多彩な素材感と人の動きを細かく、ていねいに見せる模型だったが、実際の建築もそれを強く意識したデザインになっており、多様な場面の展開と手触り感の強い住宅である。その後、住吉に移動し、光嶋が手がけた、内田樹の自邸兼道場の《凱風館》を見学する。大きなヴォリュームを小さな屋根の単位で分節しながら、それぞれの場にいろいろな素材を配して、異なる空間をつくる。一方、1階奥の道場は中心軸の通った大空間だ。合気道、麻雀、寺子屋など、パブリックな場として活躍する開かれた家である。
2014/07/28(月)(五十嵐太郎)