2019年07月01日号
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artscapeレビュー

中野茂樹+フランケンズ2014 別役実「ハイキング」

2014年08月15日号

会期:2014/07/08~2014/07/15

下北沢シアター711[東京都]

下北沢にて、ナカフラの公演「ハイキング」を観劇。別役実の不条理原作に負うところも大きいのだろうが、とにかく面白い。笑った、そして怖かった。「ハイキング」の概念をめぐるズレ、コミュニケーションのズレ、家族や社会の内外のズレが絡みあい、電信柱一本という日常的な風景がとてつもなく異化されていく。「ハイキング」は当初110分の予定が、100分になり、最終的に90分になったという「お詫び」が、わざわざ冒頭で示されたが、途中だれることがない、心地よいリズム感は、その20分を削ったことで得られたのではないかと推測する。ところで、夜の電信柱のふもとでの「ハイキング」の途中、唐突に傷痍軍人が登場した。筆者が小学生の頃、東京などの大都市を訪れると、上野駅の周辺などで傷痍軍人を目撃し、日本がまだ太平洋戦争と地続きであることをリアルに感じたことを覚えている。時代を引き戻し、後ろめたさを覚えさせる存在だった。

2014/07/12(土)(五十嵐太郎)

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