artscapeレビュー
APP ARTS STUDIO vol.9「手工の住家」
2014年08月15日号
会期:2014/07/19
APP ARTS STUDIO[京都府]
芸術家の余技というテーマで、林洋子氏による自分の家を造ってしまう画家・藤田嗣治のお話と、伊達伸明氏のお話を伺った。伊達伸明氏は、作品づくりの原点はアレクサンダー・カルダーだったというお話や、初期作品の話など、珍しい内容。さまざまなペットボトルのパッケージのお茶という文字を甲虫の模様として、標本になっている作品や、最近まで小冊子の連載だったというナミイタ写真のコレクションなんてのもある。すべてを余技であり本技でもあり、邪道であり王道であり……。まずは自分の頭や体の動きとか、くせみたいなものを肯定するところからはじまっているような感覚だろうか。それが人間くささとか正直さみたいなものになってにじみ出るというか、親しみをわかせるというか。取り壊しになってしまう個人宅や建築物から受注し、廃品などからつくる建築物ウクレレ化計画の作品のことを描いたカルタより一句、「手垢に勝る塗料なし」。
2014/07/19(土)(松永大地)