2019年07月15日号
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artscapeレビュー

パリよ、永遠に

2015年03月15日号

映画『パリよ、永遠に』(監督:フォルカー・シュレンドルフ)を見る。ナチスが占領していたパリから撤退する前に、オペラ座、ルーブル、エッフェル塔、駅や橋などを含む、有名建築を爆破せよというヒトラーの命令が出された。そこで、これを止めさせるべく、ホテルにいるドイツの将軍のもとにスウェーデンの総領事が訪れた。その二人の駆け引きの一夜を描いたものである。舞台となるホテルにも、ナポレオンの歴史的なエピソードが付随していたように、建築や都市は記憶を集積する空間の器だ。しかも、二人の会話は、まちは誰のものか、という問いかけをはらむ都市論にもなる。幸い、パリは破壊されずに、われわれが花の都を享受しているように、未来に生きているわれわれのものでもある。ところで、中東の人質事件を受けた日本の立ち振る舞いに、果たしてこのインテリジェンスはあったのだろうか?

2014/02/03(火)(五十嵐太郎)

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