2019年11月01日号
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artscapeレビュー

今井祝雄「Time Collection」

2015年03月15日号

会期:2015/02/14~2015/03/11

Yumiko Chiba Associates/ viewing room shinjuku[東京都]

今井祝雄といえば、あの凄みのある「デイリーポートレイト」をまず思い浮かべる。1979年5月30日から、前日に撮影したポラロイド写真を手に持った自分の姿を撮影し続けているこのシリーズは、世紀をまたいで現在も継続中である。写真とは時間をスライスするメディアであるというのは、よくいわれることだが、まさにその物質的な厚みを可視化するという不可能な試みを成し遂げつつあるこのシリーズには、誰もが畏敬の念を抱かないわけにはいかないだろう。
今回のYumiko Chiba Associates/ viewing room shinjukuの展示では、やはり写真やヴィデオ映像を使って、時間の画像化を試みた作品が並んでいた。全裸の男性を連続的に撮影したポラロイド写真をモデルの体に貼り付けていく「時間の衣装」(1978年)や、時間をデジタル表示しているテレビの画面を、その数字が変化する1分以内に多重露光で撮影する「タイムコレクション」(1981年)などは、コンセプトが先行した頭でっかちの作品に思われがちだ。だが実際にそれらを見ると、その物質化の手続きが意外なほど生々しく、画像そのものの劣化もあって、見る者の記憶や感情を揺さぶる奇妙な魅力を放ちはじめているように感じる。1970年代に制作された高松次郎、榎倉康二、若江漢字などのコンセプチュアル・アートの写真作品もそうなのだが、まさに時の経過にともなう生成変化が、そこに具体的に生じてきていることが興味深い。デジタル化以降のメディアでも、同じような作品を制作することは可能だが、ポラロイド写真のような、魅力的な物質感は期待できないのではないだろうか。

2015/02/25(水)(飯沢耕太郎)

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