artscapeレビュー
ダメ男ショートフィルムプログラム 全5作品/アカデミー賞ショートフィルムプログラム 全4作品
2015年03月15日号
会期:2015/02/01~2015/03/15
Brillia SHORTSHORTS THIEATER[神奈川県]
ブリリア・ショートショートシアターの年間パスを購入したので、通うようになった。ダメ男ショートフィルムプログラムは、ちょっと悲惨すぎるような感じのものもあったが、3番目のStuart van Eysden監督の『テディ』(14分)は、コミカルなホラーで笑える。低予算、短い尺で、いかにその余白も感じさせる作品をつくることができるかが、短編映画の醍醐味である。アカデミー賞ショートフィルムプログラムは、さすがにクオリティが高い。短編は、巨額の予算を使うハリウッド一辺倒ではなく、作品がインターナショナルになりやすいのがよい。『ミスター・ヴォーマン』は、精神分析医と自らを神と名乗る受刑者の物語である。哲学的にも聞こえる会話が笑える。そして男はベルギーをこの世から消すと言い、本当にそれを起こしてしまう。一番よかったのが、Wei Hu監督の『チベットの埃』だった。北京やディズニーなどの書き割り写真を背景に、チベット遊牧民のさまざまな集合写真を撮るのだが、強烈な地域性と非場所の唐突なぶつかりあいが印象的である。そして撮影が終わり、最後に出現するフィクションのような本物の風景(=大自然の中の中国の建設現場)に驚かされる。ドキュメンタリーのような物語だ。
2015/02/16(月)(五十嵐太郎)